「コンタクトのケアって面倒でつい手を抜いてしまう」「MPS液で浸しておけばそれでOKだと思っていた」「最近なんとなく目がゴロゴロする」
コンタクトレンズの不適切なケアが原因で、角膜感染症などの深刻なトラブルを引き起こすケースは少なくありません。コンタクトレンズのトラブルの多くは、正しいケアを怠ったことが原因とされています。
この記事では、ソフトレンズ・ハードレンズそれぞれの正しいケア方法から、ケア用品の選び方、やってはいけないNG行為まで詳しく解説します。

ケア方法の基本|ソフトレンズとハードレンズの違い
まず知っておいていただきたいのが、ソフトレンズとハードレンズではケア方法がまったく異なるという点です。
| 項目 | ソフトレンズ | ハードレンズ |
|---|---|---|
| 水道水でのすすぎ | 不可(アカントアメーバ感染リスク) | 可 |
| 洗浄液の種類 | MPS・過酸化水素・ポビドンヨード | 専用クリーナー |
| こすり洗い | 必須(一定方向に20~30回) | 必須(手のひらの上でこする) |
| 保存液 | MPS or 専用保存液 | 専用保存液 |
| タンパク除去 | 週1回推奨 | 週1回推奨 |
ソフトレンズには絶対に水道水を使わないでください。水道水に含まれるアカントアメーバという微生物がレンズに付着し、角膜感染症を引き起こす可能性があります。アカントアメーバ角膜炎は治療が困難で、重症化すると視力低下のリスクもある深刻な感染症です。
ソフトレンズのケア手順|MPS編
MPS(マルチパーパスソリューション)は1本で洗浄・すすぎ・消毒・保存ができる便利なケア液です。最も手軽で広く普及しているケア方法ですが、正しい手順を踏まないと十分な消毒効果が得られません。
正しいMPSケアの手順
- 石けんで手を洗う ― 手についた雑菌がレンズに付着するのを防ぐための最初のステップです
- レンズを手のひらにのせ、MPSを数滴たらす
- 片面ずつ20~30回こすり洗いする ― 指の腹で一定方向に軽くこすります。円を描くようにこするのはNGです。レンズが破れたり汚れが広がる原因になります
- MPSで十分にすすぐ ― こすり洗いで浮かせた汚れをしっかり流します
- レンズケースにMPSを満たし、レンズを完全に浸す
- ケースのふたをしっかり閉めて4時間以上放置 ― MPSの消毒効果が発揮されるまでに時間が必要です
MPSの落とし穴
MPSは手軽ですが、過酸化水素タイプに比べると消毒力はやや劣ります。そのため、こすり洗いを省略するとMPSだけでは汚れや菌を十分に除去できません。「つけ置きだけでOK」と考えるのは危険です。

ソフトレンズのケア手順|過酸化水素編
過酸化水素タイプはMPSより強い消毒力を持つケア方法です。アレルギー体質の方や、より清潔にレンズを使いたい方におすすめです。
| 比較項目 | MPS | 過酸化水素タイプ |
|---|---|---|
| 消毒力 | 標準的 | 高い |
| 手軽さ | 1本で完結 | 中和が必要 |
| コスト | 比較的安い | やや高い |
| アレルギーへの配慮 | 防腐剤に反応する場合あり | 中和後は過酸化物が残らず低刺激 |
| 装着前のすすぎ | 不要(そのまま装着可) | 中和完了の確認が必要 |
過酸化水素タイプを使用する際の最大の注意点は、中和が完了する前にレンズを装着してはいけないという点です。中和前の過酸化水素が目に入ると、強い刺激と痛みが生じます。必ず規定の中和時間(通常6時間以上)を守ってください。
レンズケースのケア|見落としがちな重要ポイント
レンズ本体のケアには気を配っていても、レンズケースのケアを怠っている方は非常に多いです。実は、レンズケースは細菌が最も繁殖しやすい場所の一つです。
レンズケースの正しい管理方法
- 使用後は液を捨て、水道水ですすぐ(ソフトレンズのケースでも、ケース自体は水道水で洗えます)
- 洗った後は自然乾燥させる ― ふたを開けた状態で乾燥させ、細菌の繁殖を防ぎます
- 1ヶ月ごとにケースを交換する ― 多くのケア液に新しいケースが付属しています
- ケースの中の液は毎回新しいものに入れ替える ― 前日の液を使い回すのは厳禁です
レンズケースの保存液を「つぎ足し」で使い回す行為は絶対にやめてください。使い回した液の中で細菌が繁殖し、感染症のリスクが大幅に高まります。毎回新しい液に入れ替えるのが鉄則です。
コンタクトレンズケアのNG行為一覧
やりがちなNG行為をまとめました。一つでも心当たりがある方は、今日から改善してください。
| NG行為 | リスク |
|---|---|
| こすり洗いを省略する | 汚れや菌が残り、角膜感染症のリスクが高まる |
| ソフトレンズを水道水ですすぐ | アカントアメーバ感染の危険 |
| 保存液を使い回す(つぎ足し) | 細菌が繁殖して感染症の原因になる |
| 使用期限を超えて装着する | レンズの劣化により角膜に傷がつく |
| レンズをつけたまま寝る | 角膜の酸素不足により重篤な障害を起こす可能性 |
| レンズケースを長期間交換しない | バイオフィルムが形成され、洗浄では除去できない汚れが蓄積 |

ワンデータイプならケア不要?注意点はある
1日使い捨てタイプ(ワンデー)はレンズケアが不要で、毎日清潔なレンズを使えるのが大きなメリットです。ケアが面倒に感じる方や、衛生面を重視する方にはおすすめの選択肢です。
ただし、ワンデータイプにも注意点はあります。
- 1日以上の使用は厳禁 ― 「まだキレイだから」と2日目も使うのは非常に危険です
- 装着前の手洗いは必須 ― ケア不要でも、手の清潔さは重要です
- コスト面の考慮 ― 2週間タイプや1ヶ月タイプに比べてランニングコストは高くなります
コンタクトレンズの安全な使用についてはシード公式のケア方法解説も参考になります。また、コンタクトレンズに関する注意喚起は厚生労働省の医療機器情報ページ(www.mhlw.go.jp・サイト終了)でも確認できます。レンズトラブルの事例については日本眼科学会のサイトも合わせてご覧ください。
よくある質問
Q. MPSと過酸化水素タイプ、どちらがおすすめ?
A. 手軽さを重視するならMPS、清潔さを重視するなら過酸化水素タイプがおすすめです。アレルギー体質の方や目のトラブルが多い方には、消毒力の高い過酸化水素タイプが適しています。
Q. こすり洗いは何回すればいい?
A. 片面ずつ20~30回が目安です。軽い力で一定方向に指の腹で動かしてください。力を入れすぎるとレンズが破損する可能性があるため、やさしく丁寧にこすりましょう。
Q. レンズケースの交換頻度は?
A. 1ヶ月ごとの交換が推奨されています。目に見えない汚れやバイオフィルムが蓄積していくため、見た目がきれいでも定期的に新しいケースに交換してください。
Q. コンタクトの装着時間の目安は?
A. ソフトレンズの場合は1日12~16時間が一般的な上限です。ハードレンズはそれより長く使える傾向がありますが、目の状態には個人差があるため、眼科医の指示に従ってください。
Q. 旅行中のケアで注意することは?
A. ケア用品は必ず持参してください。現地で購入できない場合に備えて、小容量のトラベルサイズを用意しておくと安心です。飛行機内は非常に乾燥しているため、長時間のフライトではメガネへの切り替えを検討するのもおすすめです。
まとめ:正しいケアが目の健康を守る
コンタクトレンズケアのポイントをまとめると以下の通りです。
- ソフトレンズとハードレンズではケア方法が異なる
- こすり洗いは省略せず、片面20~30回を一定方向に
- ソフトレンズには水道水を使わない
- 保存液の使い回し(つぎ足し)は厳禁
- レンズケースは1ヶ月ごとに交換する
- レンズをつけたまま寝ない
コンタクトレンズは医療機器です。正しいケアを怠ると、最悪の場合は視力に影響を及ぼすトラブルにつながります。毎日のちょっとした手間が、ご自身の大切な目を守ることにつながりますので、ぜひ今日からケアの見直しを始めてみてください。

