
ICL(眼内コンタクトレンズ)手術を受けるには、まず適応検査をクリアする必要があります。適応検査では目の状態を多角的にチェックし、手術が安全に行えるかどうかを判断します。
この記事では、ICL適応検査で実施される具体的な検査項目と所要時間、事前に準備しておくべきことを詳しく解説します。これから検査を受ける方はぜひ参考にしてください。
ICL適応検査とは何をする検査なのか
ICL適応検査は、目の構造や状態を精密に調べて、ICLレンズを安全に挿入できるかどうかを判定するための検査です。同時に、挿入するレンズの度数やサイズも決定します。
検査は通常10種類以上の項目で構成されており、所要時間は1時間半〜2時間程度が目安です。瞳孔を広げる散瞳薬を使用するため、検査後は数時間ほど見えにくくなります。車やバイクでの来院は避け、公共交通機関を利用してください。
ICL適応検査の具体的な項目
視力検査・屈折検査
裸眼視力と矯正視力を測定し、近視・遠視・乱視の度数を正確に把握します。ICLレンズの度数を決めるための基本データとなる重要な検査です。
角膜形状解析
角膜の表面のカーブや厚みを詳細に測定します。角膜の形状が不規則な場合は、ICLの適応外となることがあります。トポグラフィーという機器を使用して、角膜の全体像をマッピングします。
前房深度測定
ICL手術で最も重要な測定項目の一つが前房深度です。前房とは角膜と虹彩の間のスペースのことで、ここにICLレンズが配置されます。日本眼科学会のガイドラインでは、前房深度が2.8mm以上あることが適応条件とされています。
角膜内皮細胞検査
角膜の内側にある内皮細胞の数と形態を確認します。この細胞は一度失われると再生しないため、手術前に十分な数があるかどうかが重要です。年代別の基準として、20代は2,400個/mm²以上、30代は2,200個/mm²以上、40代以上は2,000個/mm²以上が目安です。
眼圧測定
眼球内部の圧力を測定します。眼圧が高い場合は緑内障の可能性があり、ICL手術後にさらに眼圧が上昇するリスクが懸念されるため、慎重な判断が必要です。
瞳孔径測定
明所と暗所での瞳孔の大きさを測定します。瞳孔径が大きい方は術後にハロー・グレア(光のにじみやまぶしさ)が出やすい傾向があるため、事前に把握しておく必要があります。
眼底検査
散瞳薬で瞳孔を広げた後、網膜や視神経の状態を観察します。糖尿病網膜症や緑内障、網膜剥離などの眼疾患がないかを確認する検査です。眼底に異常がある場合は、そちらの治療を優先する必要があります。
涙液検査
涙の量や質を調べます。重度のドライアイがある場合は、術後の回復に影響を与えることがあるため確認が必要です。

ICL適応検査の判定基準
日本眼科学会のガイドラインに基づく主な適応基準は以下のとおりです。
- 年齢:原則21〜45歳(米国FDAは2026年2月に60歳まで拡大承認)
- 前房深度:2.8mm以上
- 角膜内皮細胞数:年代別の基準値以上
- 屈折度数の安定:術前1年間、度数が安定していること
- 乱視:4.5D以内
- 眼疾患がないこと(緑内障・白内障・ぶどう膜炎など)
これらの条件をすべて満たした場合に「適応あり」と判断されます。一つでも基準を満たさない場合は不適応となり、レーシックなど別の矯正方法を検討することになります。
適応検査の前に準備しておくこと
コンタクトレンズの装用中止
ソフトコンタクトレンズは検査の3日前から、ハードコンタクトレンズは2週間前から装用を中止する必要があります。コンタクトレンズは角膜の形状に影響を与えるため、正確な検査結果を得るには一定期間外しておく必要があるためです。
当日の持ち物と注意点
- メガネ(散瞳後は見えにくくなるため)
- 保険証
- 使用中の目薬があれば持参
- 車やバイクではなく公共交通機関で来院
- 散瞳後4〜5時間はまぶしさが続くためサングラスがあると便利
検査から手術までの流れ
適応検査で「適応あり」と判断された場合、次のステップに進みます。
レンズの発注
検査結果をもとに、患者ごとにオーダーメイドのICLレンズを発注します。在庫があるレンズの場合は最短2週間程度で届きますが、強度近視や乱視用の特殊レンズの場合は2〜3ヶ月かかることもあります。
術前最終検査
手術日の数日前に最終チェックを行います。適応検査時からの変化がないか確認し、手術の最終的なゴーサインを出します。
手術当日
手術自体の所要時間は両眼で20〜30分程度です。点眼麻酔を使用するため、強い痛みを感じることはほとんどありません。手術後は30分〜1時間程度の安静時間をとり、問題がなければ当日中に帰宅できます。

適応検査で不適応と言われたら
適応検査の結果、ICL手術が受けられないと判断される場合もあります。不適応となる主な理由は以下のとおりです。
- 前房深度が浅い(2.8mm未満)
- 角膜内皮細胞数が不足している
- 眼疾患がある
- 屈折度数が安定していない
不適応の場合でも、レーシックやオルソケラトロジーなど別の視力矯正法が適している場合もあります。担当医と相談して、自分に合った方法を検討してください。
よくある質問
適応検査は痛いですか?
ほとんどの検査は機械に顔を近づけるだけのものなので、痛みはありません。眼圧測定では空気が目に当たりますが、一瞬で終わります。散瞳薬の点眼時にわずかな刺激を感じる方もいますが、すぐに収まります。
適応検査の費用はいくらですか?
クリニックによって異なりますが、無料で実施しているところも多くあります。有料の場合は5,000〜10,000円程度が相場です。手術を受ける場合は、検査費用が手術費用に含まれるクリニックもあります。
検査結果はその日にわかりますか?
基本的に検査当日に結果が出て、適応の可否を医師から説明されます。その場で手術日の予約も可能です。
まとめ
ICLの適応検査は10種類以上の精密検査で構成されており、所要時間は1時間半〜2時間程度です。事前にコンタクトレンズの装用中止期間を守り、当日は公共交通機関で来院してください。
この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。検査の詳細な内容はクリニックによって異なる場合があります。必ず受診予定のクリニックに事前確認してください。
検査を受けて自分がICLに適応しているかどうか確認するのが、視力矯正への第一歩です。

