学校や職場の健康診断、眼科の受診などで行われる視力検査。「Cのマーク」の切れ目の方向を答えるおなじみの検査ですが、正しいやり方や結果の読み取り方を詳しく知っている方は意外と少ないかもしれません。
この記事では、視力検査の種類とやり方、結果の見方まで、わかりやすく解説していきます。「視力0.7ってどれくらい見えるの?」「S・C・Axって何?」といった疑問にもお答えします。

視力検査で使われる「ランドルト環」とは
視力検査で使われるアルファベットの「C」のようなマークは、正式には「ランドルト環(Landolt ring)」と呼ばれます。1909年にイタリアで開催された国際眼科学会で国際標準の視標として採用されたもので、フランスの眼科医エドムンド・ランドルトにちなんで名付けられました。
ランドルト環の切れ目は上下左右の4方向(場合によっては斜め方向も加えて8方向)で提示され、被検者がどの方向に切れ目があるかを答えることで視力を測定します。
ランドルト環が使われる理由は、文字や数字と違って言語に依存しないため、世界中で統一的に使用できるからです。日本でもJIS規格(JIS T 7309)で視力検査用の視力表が規定されています。

視力検査の基本的なやり方
一般的な視力検査の流れ
- 視力表から5メートル(または3メートル)離れた位置に座る
- 片目を遮眼子(アイパッチ)で隠す
- 検査員の指示に従い、ランドルト環の切れ目の方向を答える
- 大きな視標から始めて、徐々に小さな視標へ進む
- 同じサイズの視標を5つ中3つ以上正答できたら、その視力値として記録
- もう片方の目も同様に検査する
判定基準として、同じ視力値の視標のうち過半数(5問中3問以上)正答した場合にその視力があると判定されます。例えば視力0.6の視標を5問中3問正答すれば、視力0.6以上ということになります。
これは確率的にも合理的な基準で、適当に答えて1回正答する確率が1/4であるのに対し、3回連続で正答する確率は約1.6%と非常に低いため、まぐれで合格することがほぼ不可能な設計になっています。
検査時の注意点
- 目を細めない:目を細めるとピンホール効果で見えやすくなるため、正確な視力が測れません
- はっきり見えなくても答える:完全に見えなくても、なんとなく向きがわかれば答えてOKです
- わからないときは「わかりません」と伝える:無理に答える必要はありません
- コンタクトレンズは外す(裸眼視力の場合):矯正視力を測る場合は着用したままでOK

視力検査の種類
裸眼視力と矯正視力
裸眼視力はメガネやコンタクトレンズなしで測った視力、矯正視力はメガネやコンタクトレンズを装着して測った視力のことです。眼科では両方を測定するのが一般的で、特に矯正視力は目の健康状態を把握するうえで重要な指標となります。
矯正しても視力が出ない場合は、何らかの目の病気が隠れている可能性があるため、精密検査が必要になることがあります。
遠方視力と近方視力
通常の視力検査は5メートル先の視力表を使う遠方視力検査です。一方、近方視力検査は30cmの距離で小さな文字を読む検査で、老眼の程度を確認する際などに行われます。
機械式視力検査(オートレフラクトメーター)
眼科では、ランドルト環の視力表に加えて、オートレフラクトメーターという機械で目の屈折度数を自動測定することが一般的です。のぞき穴から中の景色を見るだけで、近視・遠視・乱視の度数が数秒で測定されます。
視力検査の詳細については先進会眼科のコラムでもわかりやすく解説されています。
視力検査の結果の見方
視力の数値の意味
視力1.0とは、1分角(1/60度)の隙間を識別できる能力を指します。ランドルト環でいうと、5メートルの距離から直径7.5mm、切れ目の幅1.5mmの環の切れ目を判別できる力です。
| 視力値 | 見え方の目安 | 日常生活への影響 |
|---|---|---|
| 1.0以上 | 遠くまではっきり見える | 特に不便なし |
| 0.7〜0.9 | やや見えにくいことがある | 運転免許の基準をクリア(0.7以上) |
| 0.3〜0.6 | 遠くのものが見えにくい | メガネやコンタクトの使用が推奨される |
| 0.1〜0.2 | かなり見えにくい | 矯正なしでの日常生活に支障が出ることがある |
| 0.1未満 | 強い矯正が必要 | 矯正器具なしでは困難な場面が多い |
S・C・Axの意味
眼科の処方箋やメガネの度数表示で見かけるS・C・Axは、以下の意味を持ちます。
- S(Sphere / 球面度数):近視・遠視の度数。マイナスが近視、プラスが遠視
- C(Cylinder / 円柱度数):乱視の度数
- Ax(Axis / 軸):乱視の方向(角度)。0〜180度で表示
例:S -3.00 / C -0.75 / Ax 180 → 近視3.00D、乱視0.75D(軸180度)

視力と度数は違うもの
「視力」と「度数」は混同されがちですが、実は異なる概念です。視力はものを見分ける能力を数値化したもので、度数は近視・遠視・乱視の程度を表すものです。
例えば、同じ度数-3.00Dの近視でも、矯正なしの裸眼視力には個人差があります。度数が同じでも視力の出方は人によって異なるため、必ず両方の数値を把握しておくことが大切です。
運転免許に必要な視力
運転免許の取得・更新には、以下の視力基準を満たす必要があります。
- 普通免許:両眼で0.7以上、片眼でそれぞれ0.3以上
- 大型免許・二種免許:両眼で0.8以上、片眼でそれぞれ0.5以上、深視力検査に合格
- 原付免許:両眼で0.5以上
矯正視力(メガネ・コンタクト着用)でも基準を満たせばOKです。詳しくは警察庁の公式サイトで確認できます。
視力検査はどれくらいの頻度で受けるべき?
一般的な目安として、以下の頻度が推奨されています。
- 子ども:学校の健康診断(年1回)+異常があれば眼科受診
- 20〜30代:2年に1回程度
- 40代以降:年1回(老眼や目の病気のリスクが高まるため)
- コンタクトレンズ使用者:3ヶ月〜半年に1回
眼科検診のタイミングについては日本眼科学会のガイドラインも参考になります。

よくある質問
Q. 視力検査の前にコンタクトレンズを外す必要がありますか?
A. 裸眼視力を測る場合は外す必要があります。矯正視力を測る場合はメガネやコンタクトレンズを着用したままでOKです。眼科で検査する場合は、事前に指示がありますのでそれに従ってください。
Q. 視力検査は自宅でもできますか?
A. スマートフォンアプリや印刷用の視力表を使えば、おおよその視力を確認することは可能です。ただし、正確な測定には専門の機器と環境が必要なので、あくまで目安として利用しましょう。
まとめ
視力検査は、目の健康状態を知るための基本的な検査です。ランドルト環の仕組みや検査のコツ、結果の読み方を知っておくと、自分の目の状態をより正確に把握できるようになります。
S・C・Axといった処方箋の読み方も覚えておくと、メガネやコンタクトレンズの購入時にも役立ちます。定期的に視力検査を受けて、目の健康管理に役立てていきましょう。


