「眼科の検査ってどんなことをするの?」「目が悪くなってから行けばいいのでは?」「定期検診ってどのくらいの頻度で受ければいいの?」
目の病気の中には、初期段階では自覚症状がほとんどないまま進行するものが数多くあります。代表的な例が緑内障で、日本人の失明原因の上位に位置するにもかかわらず、発見が遅れるケースが後を絶ちません。
この記事では、眼科で行われる検査の種類、検査の目的と流れ、そして年代別の推奨受診頻度について詳しく解説します。「いつ・どのくらいの頻度で・何を検査すべきか」が分かる内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。

眼科で行われる主な検査の種類
眼科の検査と聞くと「視力検査」だけをイメージする方が多いかもしれませんが、実際にはさまざまな検査が行われています。それぞれの検査の目的と内容を確認しましょう。
視力検査
最も基本的な検査で、ランドルト環(Cマーク)を使って視力を測定します。眼科では「裸眼視力」と「矯正視力」の両方を測定するのが一般的です。矯正視力が低い場合は、近視や遠視以外の原因(白内障や黄斑疾患など)が疑われることがあります。
眼圧検査
眼圧検査は、緑内障の早期発見に欠かせない検査です。眼球の内部の圧力を測定する検査で、非接触型(空気を当てるタイプ)と接触型があります。正常な眼圧は10〜21mmHgとされていますが、正常眼圧でも緑内障になることがあるため、この検査だけで判断するのではなく他の検査と組み合わせます。
眼底検査
目の奥にある網膜、視神経、血管の状態を観察する検査です。瞳孔を広げる目薬(散瞳薬)を使って検査する場合と、特殊なカメラで撮影する場合があります。
眼底検査では以下のような疾患の発見・経過観察が可能です。
- 緑内障:視神経の変化を確認
- 糖尿病網膜症:血管の異常を確認
- 加齢黄斑変性:黄斑部の変化を確認
- 網膜剥離:網膜の異常を確認
- 動脈硬化:血管の状態から全身疾患のサインを読み取る
視野検査
見える範囲(視野)を測定する検査です。緑内障では視野の一部が欠けていく症状が現れますが、もう片方の目が補っているため自覚しにくいという特徴があります。視野検査は緑内障の進行度を評価するために非常に重要な検査です。
細隙灯顕微鏡検査(さいげきとう・けんびきょうけんさ)
細い光を目に当てて、顕微鏡で角膜、虹彩、水晶体などの状態を詳しく観察する検査です。白内障の有無や進行度、角膜の傷、結膜の炎症などをチェックできます。眼科受診時にはほぼ必ず行われる基本的な検査の一つです。
OCT(光干渉断層計)検査
網膜の断面を撮影できる最新の検査機器です。網膜の各層の厚さをミクロン単位で測定できるため、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症、緑内障の早期発見に非常に有効です。痛みがなく短時間で完了する検査です。
| 検査名 | 主な目的 | 所要時間の目安 | 痛み |
|---|---|---|---|
| 視力検査 | 視力の測定 | 5〜10分 | なし |
| 眼圧検査 | 緑内障のスクリーニング | 1〜2分 | ほぼなし |
| 眼底検査 | 網膜・視神経の観察 | 5〜15分 | なし(散瞳後まぶしさあり) |
| 視野検査 | 視野の範囲測定 | 15〜30分 | なし |
| 細隙灯顕微鏡検査 | 角膜・水晶体の観察 | 3〜5分 | なし |
| OCT検査 | 網膜の断層撮影 | 5〜10分 | なし |

年代別の推奨検診頻度
目の検査をどのくらいの頻度で受けるべきかは、年齢やリスク要因によって異なります。日本眼科医会の情報を参考に、年代別の推奨頻度をまとめました。
20〜30代:自覚症状がなくても1〜2回は受診を
若い世代は目の病気のリスクが比較的低いですが、20代で1回、30代で2回程度の受診が推奨されています。近視の進行チェックや、コンタクトレンズ使用者は定期的な角膜チェックが必要です。
40代:定期検診を始めるべき重要な節目
40歳を過ぎたら、少なくとも1〜2回の眼科検診を受けることが強く推奨されています。40代以降は緑内障、白内障、加齢黄斑変性などの発症リスクが上がる時期です。特に以下に該当する方は、より頻繁な検診が望ましいです。
- 家族に緑内障の患者がいる方
- 強度近視の方(-6D以上)
- 糖尿病を患っている方
- 高血圧の方
50代以降:毎年の定期検診を
50代以降は目の病気のリスクがさらに高まるため、毎年1回の定期検診が推奨されます。白内障は50代から増え始め、緑内障は40歳以上の日本人の約5%が罹患しているとの調査結果もあります。
コンタクトレンズ使用者:3ヶ月に1回
コンタクトレンズを日常的に使用している場合は、年齢に関係なく3ヶ月に1回の定期検査が推奨されています。角膜の状態やレンズの適合性を定期的にチェックすることで、トラブルを未然に防げます。
| 年代・条件 | 推奨頻度 | 重点的にチェックする項目 |
|---|---|---|
| 20〜30代(健康な方) | 数年に1回 | 視力、近視の進行 |
| 40代 | 1〜2回 | 眼圧、眼底、老眼の進行 |
| 50代以降 | 毎年1回 | 緑内障、白内障、黄斑変性 |
| コンタクト使用者 | 3ヶ月に1回 | 角膜の状態、レンズの適合性 |
| 糖尿病の方 | 半年〜1回 | 糖尿病網膜症の進行 |
「目に異常がない=目が健康」とは限りません。緑内障は視野の約40%が欠けるまで自覚症状が出ないことがあると言われています。自覚症状がなくても、定期的な検査で早期発見することが大切です。
眼科の定期検診を受ける際のポイント
実際に眼科を受診する際に知っておくと良いポイントを紹介します。
受付での伝え方
「定期検診を受けたい」と伝えれば問題ありません。「特に症状はないが目の健康をチェックしたい」と伝えると、スムーズに対応してもらえます。気になる症状がある場合は、その内容も一緒に伝えましょう。
散瞳検査がある場合の注意
眼底検査のために散瞳薬(瞳孔を広げる目薬)を使用した場合、検査後4〜6時間ほど瞳孔が開いたままの状態が続きます。その間はまぶしさを感じやすく、近くのものが見えにくくなります。
- 車の運転は避ける:公共交通機関で来院するのがおすすめ
- サングラスを持参する:帰り道のまぶしさ対策に
- 時間に余裕を持って受診する:散瞳後の検査待ち時間が必要
費用の目安
定期検診の費用は検査内容によって異なりますが、保険適用の場合は3割負担で1,000〜3,000円程度が目安です。OCT検査や視野検査など追加の検査を行った場合は、もう少し費用が上がる場合があります。
自覚症状がなく、健康診断の目的で受診する場合は自費診療になる場合があることも覚えておきましょう。ただし、検査の結果何か異常が見つかれば保険適用に切り替わることが一般的です。事前に電話で確認しておくと安心です。

早期発見が特に重要な目の病気
定期検診の最大の目的は「病気の早期発見」です。ここでは、早期発見が特に重要な目の病気について解説します。
緑内障
視神経が障害され、視野が徐々に狭くなっていく病気です。日本人の失明原因の第1位であり、40歳以上の約5%が罹患しているという調査結果があります。初期段階では自覚症状がほとんどなく、進行すると失われた視野は回復しません。定期的な眼圧検査と眼底検査で早期発見が可能です。
糖尿病網膜症
糖尿病の合併症として、網膜の血管が障害される病気です。初期には自覚症状がなく、進行すると網膜剥離や硝子体出血を引き起こし、失明に至ることもあります。糖尿病と診断された方は、定期的な眼底検査が欠かせません。
加齢黄斑変性
網膜の中心部にある黄斑が加齢によって変性する病気です。ものが歪んで見える、視野の中心が暗くなるといった症状が特徴で、進行すると日常生活に大きな支障をきたします。早期発見で治療を開始すれば、進行を抑えることが期待できます。
目の病気や検査に関する信頼性の高い情報は、日本眼科医会の「目の定期検査のすすめ」で確認できます。また、緑内障の情報については日本緑内障学会も参考になります。
よくある質問
Q. 健康診断の眼底検査と眼科の検査は違う?
A. 健康診断の眼底検査は簡易的なスクリーニングで、眼科の精密検査とは検出力が異なります。健康診断で異常なしと言われても、それだけで安心せず、眼科での総合的な検査を受けることをおすすめします。
Q. 眼科の検査は痛い?
A. ほとんどの検査は痛みがありません。眼圧検査で空気がプッと当たる感覚や、散瞳薬の点眼時にしみる程度です。検査そのもので強い痛みを感じることはまずありませんので安心してください。
Q. 検査にはどのくらいの時間がかかる?
A. 一般的な定期検診であれば30分〜1時間程度です。散瞳検査を行う場合は、散瞳薬が効くまでの待ち時間が20〜30分ほど追加されます。初診の場合は問診票の記入もあるため、時間に余裕を持って来院しましょう。
Q. メガネやコンタクトは持っていくべき?
A. はい。矯正視力の測定や、レンズの度数が適正かどうかの確認のために、普段使っているメガネやコンタクトレンズは持参してください。コンタクト使用者は装着した状態で来院しても構いません。
Q. 人間ドックのオプションで眼科検査を追加すべき?
A. 特に40歳以上の方には追加をおすすめします。眼底検査と眼圧検査のセットがあれば、緑内障や糖尿病網膜症のスクリーニングに有効です。ただし、オプション検査はあくまでスクリーニングですので、異常が見つかった場合は眼科専門医での精密検査が必要です。
まとめ:目の定期検診は「予防医療」の基本
目の検査の種類と受診頻度のポイントをまとめます。
- 眼科の検査は視力検査だけでなく、眼圧・眼底・視野・OCTなど多岐にわたる
- 40歳を過ぎたら定期的な眼科検診を始めるべき
- 50代以降は毎年1回の検診が望ましい
- コンタクトレンズ使用者は3ヶ月に1回の検査を
- 緑内障など自覚症状のない病気は、検査でしか早期発見できない
- 散瞳検査がある日は車の運転を避け、サングラスを持参する
目は一度失われた機能を取り戻すことが難しい器官です。「何も症状がないから大丈夫」ではなく、「何も症状がないからこそ検査で確認する」という意識が大切です。定期検診を習慣にして、目の健康を守っていきましょう。

